古物商許可が必要か不要かの判断基準
古物営業を行う上では、「古物商許可」が必要となってきます。しかし、実際に古物商許可の取得を考えると、そもそも自分の取引は古物営業に当たり、古物商許可が必要なのだろうかと疑問に感じる方もいると思います。今回は古物商許可の必要な場合、不要な場合についてお伝えしていきたいと思います。
古物商許可が必要なケース
古物を取引する古物営業については「古物営業法」によって規定されており、この法律は盗品の売買や流通を防ぐことを目的として作られています。そして、取り扱う商品が「古物」に該当し、かつ取引形態が「古物営業」に該当する場合は、古物営業法の規制を受けるので古物商許可の取得が必要となります。
この法律は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。
古物営業法 第1条
取り扱う商品が「古物」に該当する場合
古物営業法に定義されている「古物」とは3つに分類されます。
- 一度使用された物品
- 使用されない物品で使用のために取引されたもの
- これらの物品に幾分の手入れをしたもの
【一度使用された物品】
その物の本来の用途に従って一度でも使用されたものが該当します。
【使用されない物品で使用のために取引されたもの】
使用する目的で購入したが、一度も使用していない状態のものが該当します。新品で未開封のものであっても「古物」になります。
【これらの物品に幾分の手入れをしたもの】
「一度使用された物品」「使用されない物品で使用のために取引されたもの」を本来の用途や性質を変化させないまま、補修や修理を行ったものが該当します。例えば、破れた服を修繕したもの・壊れた電化製品を修理したものなど
取引形態が「古物営業」に該当する場合
古物営業法によると、古物営業とは古物の「売買」、「交換」、「委託を受けて売買」、「委託を受けて交換」をする営業となります。具体的に古物商許可が必要になるのは下記のような取引のケースです。
- 古物を買い取って、販売する
(中古本を買ってきてせどりをする) - 古物を買い取って、修理して販売する
(パソコンや電化製品をメンテナンスして販売する) - 古物を買い取って、その部品を売る
(中古車を買い取り販売する) - 古物を買い取って、レンタルする
(中古車を買い取りレンタカーにする) - 古物を預かっておき、売れた場合に手数料をもらう(委託販売)
(オークションの出品代行事業) - 古物を別のものと交換する
(パソコンを下取りして、査定価格に応じたクーポン券の発行やポイントの付与)
ポイント
古物の買取を行わず、古物を売却することのみは古物営業にあたりません。つまり自分の不用品を販売するだけであれば、古物商許可は不要となります。
古物所許可が不要なケース
下記のような場合は「古物」や「古物営業」に該当せず、古物商許可は不要となります。
- お店で新品を買ってきて転売する
- 自分の不用品を処分するため販売する
- 無料でもらった(引き取った)古物を販売する
- 海外で買ってきた古物を日本国内で販売する
古物営業法の目的は「盗品の売買や流通を防ぐこと」とお伝えしましたが、上記のような場合では盗品が紛れ込んだり流通する可能性が極めて低いため古物商の許可は不要となっています。また、海外で買ってきた古物ですが、古物営業法では国内に流通している古物が対象なので、海外から買ってきたり、仕入れてきたものは、この法律の趣旨と異なり古物商許可は不要です。
ポイント
海外で買ってきた古物を日本国内で販売する場合は、古物商の許可は不要ですが、反対に「日本国内で中古品を買い取って、海外で販売する」場合は古物商許可が必要になるので注意しましょう。