住宅宿泊管理業者になるには【現在の要件と緩和の動き】
民泊を運営する際、事業者から管理業務を受託できるのは住宅宿泊管理業者です。住宅宿泊管理業者は受託した管理業務について、自己の責任の下で行っていかなければならず、非常に重要な役割を担います。一部の管理業務をホストや他の業者に再委託することは可能ですが、再委託先についても住宅宿泊管理業者が責任を負うことになるので再委託先の指導監督を行うことが必要です。
参考記事
住宅宿泊管理業者の登録について
住宅宿泊管理業者となるには登録が必要で、国土交通大臣に住宅宿泊管理業者登録申請書に必要事項を記入の上、必要な添付書類と合わせて提出します。
登録するには個人でも法人でも可能ですが、1番重要なポイントとしては住宅の取引又は管理に関する2年以上の実務経験や事業経歴、もしくは不動産に関する資格などが必要な点です。
詳しく言うと、住宅の取引又は管理に関する契約に係る依頼者との調整、契約に関する事項の説明、当該事項を記載した書面の作成及び交付といった、契約実務を伴う業務に2年以上従事した者であること又はそれらの者と同等の能力を有すると認められることが必要になります。これらを証明するには下記の書類が必要です。
個人の場合
- 住宅の取引又は管理に関する2年以上の実務経験が記載された職務経歴書
- 宅地建物取引士の写し
- 管理業務主任者証の写し
- 賃貸不動産経営管理士証の写し
該当する不動産に関する資格を持っていても、それぞれの資格に規定されている登録を受けている必要があります。(例えば、宅地建物取引士試験の合格だけではなくて、宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引士の登録を受けている証明が必要)
法人の場合
- 住宅の取引または管理に関する2年以上の事業経歴が記載された事業経歴書
- 宅地建物取引業の免許証の写し
- マンション管理業の登録の通知の写し
- 賃貸住宅管理業の登録の通知書の写し
- 個人の場合の要件を満たす従業者を有する場合は該当従業者の上記個人の場合の書類
宅建業・マンション管理業・賃貸住宅管理業の登録がなく、個人の場合の要件を満たす従業者がいる場合には、その従業員が離職した場合のことも考えて対策しておく必要があるでしょう。
要件の緩和の動き
国土交通省は住宅宿泊管理業者の登録要件の緩和する具体的な方策を固め、2023年度に国土交通省令を改正する方針です。これまでに必要とされてきた実務経験や資格に加えて、「登録実務講習」を修了した者も住宅宿泊管理業者の登録が可能になる見込みで、20時間の通信講座と7時間の講義を受け、修了試験に合格すれば誰でも管理業者としての資格を得られるようにするものです。
講習では、民泊新法の趣旨や管理業者の役割と義務、契約の手続きなどを学び、新制度の受講者としては、ホテル・旅館等の宿泊事業者やDMO、地域おこし協力隊の関係者などを見込むようです。
現在、管理業者は東京、大阪、福岡などの都市部に集中してますが、この緩和によって地方でも民泊施設の運営が容易になり、空き家を活用した施設などが増えることで空き家問題の解決や地方経済の活性化に繋がるかもしれません。