民泊を運営するには管理業者への委託が必要か
民泊を運営する上で、管理業務の委託をどうするかで悩む方も多いと思います。コスト削減のために事業者自身が行うか、管理業者に委託するか、委託するにしてもどの業者にすればいいかなど。
今回は、どのような場合に管理業者への委託が必要か、その委託する内容についてお伝えしていきます。
管理業者への委託が必要な場合
民泊を運営するには3つの方法(旅館業、住宅宿泊事業法、特区民泊)があります。この中で1番ハードルが低い住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出により運営する方は多いでしょう。
住宅宿泊事業法では、次のいずれかに該当する場合に住宅宿泊管理業務(法第5条から第10条までの規定による業務及び住宅宿泊事業の適切な実施のために必要な届出住宅の維持保全に関する業務)を住宅宿泊管理業者へ委託する義務があります。
- 居室の数が5を超える場合(6室以上)
- 届出住宅に人を宿泊させる間、不在となる場合(家主不在型)
※生活必需品の購入など日常生活を営む上での一時的な外出は「不在」と認められません。原則として1時間程度、お店の場所や交通手段の状況等によっては2時間程度までとなっております。
住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者になることも可能で、自ら住宅宿泊管理業務を行う場合については委託は不要です。
住宅宿泊管理業務の委託について
- 宿泊者の衛生確保の措置(法第5条)
- 避難機器設置等の安全確保の措置(法第6条)
- 外国語による施設利用方法の説明(法第7条)
- 宿泊者名簿の備付け(法第8条)
- 騒音防止等、必要事項の宿泊者への説明(法第9条)
- 苦情等の処理(法第10条)
住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する場合は、1つの住宅宿泊管理業者に委託する必要があり、複数の管理業者に分割して委託することはできません。
また、住宅宿泊事業法第35条には
住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業者から委託された住宅宿泊管理業務の全部を他の者に対し、再委託してはならない
とあります。これは言い換えると、住宅宿泊管理業者は業務の全部を再委託(丸投げ)はできませんが、自らの責任の下、専門業者等に一部なら再委託できるということです。
管理業者へ委託するパターン
住宅宿泊管理業者へ管理業務を委託する場合、基本的にはすべての業務を委託しますが、事業者自身が一部の業務を行うこともあります。つまり、大きく分けると民泊の管理業務を行うには3つのパターンが考えられます。
すべての管理業務を住宅宿泊管理業者へ委託する
ゲストへの対応や周辺住民からの苦情処理、夜間の駆け付け、清掃などすべての業務を委託するケースです。自宅から遠い場所で民泊を運営する場合、別に本業があって時間がない方など、委託費用は掛かっても負担を少なく運営したい方が考えられます。
一部の管理業務のみを住宅宿泊管理業者へ委託する
一旦はすべての業務を管理業者へ委託し、事業者自身がする業務を再委託の形で管理業者から引き受けるケースです。自宅の近くで民泊を運営するので清掃業務や苦情対応は自ら行ったり、逆に苦手な外国語対応のみ管理業者に委託するなどです。自分でできることや得意なことを考慮して運営したい方が考えられます。
すべての管理業務を住宅宿泊事業者が行う
管理業者への委託義務がない場合や、委託義務はあるけど事業者自らが管理業者となるケースです(※前提として住宅宿泊管理業者への登録が必要)。とにかくコストを抑えたい方向けですが、すべての管理業務を行う必要があるので負担はとても大きく、複数の施設を運営する場合は難しいかもしれません。
ポイント
委託する住宅宿泊管理業者を探すときは、委託費用(成果報酬や月額固定)のみを考えるのではくて、管理業者の実績や多言語対応できるか、トラブル時の緊急対応は可能かなど総合的に検討することが大事です。