【就労ビザ】転職後にビザを更新するとき

就労ビザを取得して日本に住む外国人は、与えられた在留期限に限って日本に在留することができます。そして、その期限後も引き続き日本に在留するのであれば、ビザの更新が必要になってきます。代表的な就労ビザは「技術・人文知識・国際業務」ですが、他にも「技能」や「企業内転勤」、「高度専門職」なども挙げられます。

就労可能な在留資格である就労ビザを持って働く外国人が転職することもあると思います。では、就労ビザの外国人が転職をした後で、ビザの更新をする場合はどうなるでしょうか。解説していきたいと思います。

就労ビザの更新の審査ポイント

在留期間の更新許可のガイドラインによると、ビザの更新は「法務大臣が適当と認める相当の理由があるときに許可すること」とされており、この判断は法務大臣の自由な裁量に委ねられています。そして具体的には以下の要件を考慮して判断されます。

  1. 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
  2. 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
  3. 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
  4. 素行が不良でないこと
  5. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  6. 雇用・労働条件が適正であること
  7. 納税義務を履行していること
  8. 入管法に定める届出等の義務を履行していること

大前提の話ですが、ビザを更新する際、いくら不利な事情があるからといって虚偽の書類を作成したり、文書の偽造をすることは絶対にダメです。更新の要件をすべて満たしていても、虚偽申請が発覚すれば不許可になります

また、ビザの更新をせず在留期限を過ぎて日本に在留する外国人は、不法残留となり強制退去の処分となります。どんなに仕事が忙しくても、「ついうっかりしていた」では済まず、取り返しのつかないことになります。在留期限の3か月前からビザの更新申請が可能になるので、スケジュール管理をきちんと行いましょう。

転職後の就労ビザの更新について

勤務先と業務内容に変更なく更新する場合、就労ビザの取得の際に一度審査をされているので比較的簡易な手続きとなります。しかし、別の会社に転職した場合は、「更新」と言っても勤務先と業務内容が変わるので、一から審査されることになります。つまり、就労ビザ取得の審査同様に、提出する書類は多くなり、審査期間も長くなります。

ここでは、就労ビザの外国人が転職をした場合を3つのケースに分けて考えていきます。

在留期限が近づいてきたので更新する

転職先の会社での業務内容が前の会社と同様であれば、特に手続きをせずに就労し、在留期限が近づいてきたタイミングでビザの更新は可能です。ただし、転職することで業務内容が大きく変わる場合や、今の就労ビザで認められている業務範囲であることを詳細に説明する必要がある場合などは、不許可のリスクが高いので注意が必要です。

就労資格証明書を取得した後で更新する

転職した時点で在留期限まで6ヶ月以上ある人は、「就労資格証明書」の取得をおすすめします。就労資格証明書の取得は義務ではありませんが、「今のビザのままで働いていい」という入管からのお墨付きを証明できるので安心して働くことができます。また、就労資格証明書を取得しておくことで、次のビザの更新手続きもスムーズになります。

ビザの種類を変更する

転職することで今の就労ビザ活動範囲外の業務内容になる場合は、ビザの「更新」ではなくて「変更」になります。それぞれの就労ビザには、就労可能な業務範囲や要件が決められており、もし外れる場合はビザを変更する必要があります。そして、変更する就労ビザの要件を満たす必要があり、要件を満たさなければ転職先で働くことはできません。

就労ビザの更新で注意する点

無職の期間が長い場合

仕事を辞めてから次の会社で働きはじめるまでの期間が長い人は注意が必要です。特に理由もなく、転職活動としての期間が3か月以上あると厳しく審査されることになります。できるだけ転職先の会社が決まってから、勤務中の会社を辞める様にしましょう。

また、税金や社会保険料(年金と健康保険)ですが、勤めている間は給料から天引きされるので未納にはなりませんが、転職活動中(無職)になると自分で払わなければなりません。ビザの更新や変更の審査の際に影響が出てくるので、忘れずに払うようにしてください。

必要な届出をしてない場合

転職して勤務先が変わったり、転居して住所が変わった場合は、入管や市町村へ届出をしなければなりません。環境が変わって時間がないかもしれませんが、ビザの更新の際には過去の在留状況も審査項目となっているので、必要な届出は期限内に確実に行いましょう。もし、期限を過ぎていたとしても、そのまま放置せずに届出をしてください。

もしもビザの更新が不許可になった場合

万が一、就労ビザの更新が不許可になった場合ですが、在留期限がまだ残っているなら再申請が可能です。書類不備や不許可理由がすぐにリカバリーできそうな内容であれば、準備でき次第すぐに再申請しましょう

ただし、更新する就労ビザと転職先の業務内容が合致しない場合は、ビザの要件に会う業務内容の別会社に再度転職する必要があります。再申請する際は、在留期限があとどれくらい残っているかが重要になってきます。


また、不許可になった時点で在留期限が残されていない場合や、不許可理由を解消できそうにない場合は、一度帰国した後で改めて「在留資格認定証明書交付申請」を行い、日本に戻ってくることは可能ではあります。もちろん、在留資格認定証明書交付申請の審査では、理由にもよりますが過去のビザ更新が不許可になったことはネガティブな要素となるかもしれません。

まとめ

ビザの更新の手続きは、他の申請と比べるとそこまでハードルは高くはありません。ただし、転職する際は、自分の就労ビザで可能な業務内容を把握し、転職先を探す時には新しい会社での業務内容や雇用条件などをしっかりと確認しておくことが重要です。また、要件についても意識しておくことで、更新後に長い在留期間を与えられたり、ビザへの変更や永住申請の際にも良い影響が出てくるでしょう。