永住申請における在留期間の特例

永住申請の要件としては大きく分けると3つあり、「素行が善良であること」、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」、「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」、となっております。

このうちの「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」という要件の中で、「原則として引き続き10年以上本邦に在留していること」が必要とされています。つまり、基本的には10年以上ずっと日本に住んでいることが必須となりますが、一定の条件に当てはまる場合は「原則10年在留に関する特例」が適用され、許可に必要な在留期間が緩和されます。

原則10年在留に関する特例

永住申請の要件として、原則日本に継続して10年以上の在留が必要で、一定の条件下では在留期間が短縮する「特例」があると冒頭で説明しました。では、どのような条件に当てはまった場合に「特例」が適用されるか、代表的なケースを解説していきます。(※他にも特例が適用される条件はあります)

  1. 日本人・永住者・特別永住者の配偶者またはその実子
  2. 「定住者」の人
  3. 難民の認定を受けた人
  4. 高度専門職のポイント計算で70点以上の人
  5. 高度専門職のポイント計算で80点以上の人

日本人・永住者・特別永住者の配偶者またはその実子

日本人や永住者の配偶者の場合は、実態を伴った婚姻生活が3年以上継続しており、1年以上継続して日本に在留していれば永住申請は可能になります。ただし、この期間中に別居をしていれば、その期間は「実態を伴った婚姻生活」とはみなされません。また、「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格である必要はなく、例えば申請人の在留資格が就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)であっても、日本人や永住者と結婚している場合は特例が適用されます。

実子については、1年以上継続して日本に在留していれば永住申請は可能になります。

「定住者」の在留資格の人

「定住者」の在留資格で日本に在留している外国人は、定住者ビザを取得してから5年以上継続して日本に在留していれば永住申請が可能です。ただし、もともと日本人と結婚しており、「日本人の配偶者等」の在留資格の人が離婚や死別により「定住者」に変更していた場合は、「日本人の配偶者等」と「定住者」の2つの在留資格での在留期間の合計が5年以上あれば要件を満たしているとみなされます

難民の認定を受けた人

難民申請をしていた外国人が難民認定を受けた場合、認定の日から5年以上継続して日本に在留していれば永住申請が可能です。ただし、難民申請の審査期間中の在留については5年にカウントされません。

高度専門職のポイント計算で70点以上の人

「高度専門職」の在留資格の人で、高度人材ポイント制度で70点以上があり、次のいずれかに該当する場合

1.「高度人材外国人」として3年以上継続して日本に在留している

2日本に3年以上継続して在留しており、永住申請日の3年前の時点でも70ポイント以上あったことが認められる

高度人材ポイント制についてはこちらを参照ください

高度専門職のポイント計算で80点以上の人

「高度専門職」の在留資格の人で、高度人材ポイント制度で80点以上があり、次のいずれかに該当する場合

1.「高度人材外国人」として1年以上継続して日本に在留している

2.日本に1年以上継続して在留しており、永住申請日の1年前の時点でも80ポイント以上あったことが認められる

在留期間で注意すること

永住申請の在留期間の要件として、原則は10年以上で、一定の条件を満たせば特例が適用されて在留期間が短縮されるとお伝えしてきましたが、この在留期間は「継続していること」が求められます。下記のようなケースの場合はその継続性が認められません。

在留期間が途切れている

在留資格を失っていた期間がある場合は継続性が認められません。例えば、「留学」の在留資格で日本に滞在しており、その後帰国している間に在留期限が過ぎて在留資格を失い、「技術・人文知識・国際業務」で日本に戻ってきて滞在する場合などです。この場合、「留学」と「技術・人文知識・国際業務」の在留期間を合算することはできません。

出国日数が多い

出国日数が多い場合も在留期間の継続性が認められず、永住許可が下りない可能性があります。「1回の出国で3か月以上」、もしくは「1年間の合計で120日以上」出国がある場合は、日本に生活の基盤があると認められず、引き続き日本で生活しているとは判断され難いと言えます。

在留期間の特例を受けたとしても、他の人と同じように素行や収入などの要件は審査されます。在留期間だけでなくその他の要件についても、満たしているかの確認をしっかりとおこないましょう。