配偶者ビザの人が永住ビザを取得するには
在留資格の「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」で日本に在留する外国人は、原則10年在留の特例が適用されます。そのため、配偶者ビザの人は他の人よりも永住申請を比較的簡易に行うことができます。
では配偶者ビザの人が永住ビザを取得することで何が変わるのでしょうか。配偶者ビザと永住ビザの違いや、永住ビザを取得するメリットについてお伝えしていきます。
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目次
配偶者ビザとの違いや永住ビザのメリット
在留期限がない
配偶者ビザの人は在留期限があり、5年・3年・1年・6ヶ月など付与された年数ごとに更新の手続きをする必要がありますが、永住ビザを取得すれば在留期限がなくなります。配偶者ビザの更新の際に、収入要件などの審査があるので、要件を満たしていなくなっていれば更新できないことも考えられますが、永住ビザではこのような心配はなくなります。
厳密に言うと、永住ビザも7年に1度の更新手続きはあります。ただ、これは日本人の運転免許証の更新と同じようなもので、写真を撮り直すなど「在留カードの更新」という意味合いで審査はありません。
離婚しても日本で生活できる
配偶者ビザの人が離婚や死別をした場合はビザの種類を変更しなければなりませんが、永住ビザであれば特に手続き不要でその後も日本で生活することが可能です。
ローンが組みやすくなる
永住ビザを取得することで社会的信用が増して、住宅や自動車を購入する際などのローンが組みやすくなります。日本の金融機関の多くは住宅ローンの申込要件を「日本国籍であること、または永住許可を有すること」としており、審査に通れば永住ビザの外国人でも融資を受けられるようになります。
配偶者ビザからの永住申請のポイント
永住ビザは在留期限がなく、就労制限もないので日本でより長く安定して生活を送ることができますが、その分審査はとても厳しくなっています。そのため、永住ビザの審査ポイントを理解しておくことが大切となってきます。
- 婚姻期間と日本での居住年数
- 在留期間
- 過去3年間の収入
- 税金や社会保険の支払い状況
- 出国日数
- 素行要件
- 身元保証人
婚姻期間と日本での居住年数
通常は日本に引き続き10年住んでいないと永住申請の要件を満たさないのですが、日本人と結婚していれば、実態を伴った結婚が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に住めば永住申請の居住要件を満たします。「実態を伴った結婚」であることが必須で、日本と海外のどちらで結婚生活をスタートしたかによって変わります。
日本で結婚生活をスタートした場合
日本で3年以上の結婚生活で要件を満たします。単身赴任などの場合は説明がしっかりできれば許可され得ますが、別居中であれば婚姻生活に実態がないとして不許可になります。
海外で結婚生活をスタートした場合
海外での結婚生活が3年以上あり、その後日本で1年以上生活することで居住要件を満たします。もちろんこれも実態が伴った婚姻生活でなければなりません。
在留期間
在留期間の要件として、「現に有している在留資格について、最長の在留期間をもっていること」が必要になります。配偶者ビザの在留期間の最長は5年ですが、当面は「3年」または「5年」の期間が付与されていれば大丈夫です。「1年」や「6ヶ月」の配偶者ビザだと永住申請はできないので、まずは3年以上の期間の配偶者ビザを取得しましょう。
過去3年間の収入
収入要件としては直近3年間の「世帯年収が300万円以上」であることが必要です。世帯年収ですので夫婦共働きであれば、2人の収入を合算することができます。また、扶養に入っている家族がいる場合は、1人あたり70万円ほど年収の加算が必要です。つまり、配偶者と子供の2人が扶養に入っている場合だと年収要件として440万円が要件となってきます。
税金や社会保険の支払い状況
所得税や社会保険(年金・健康保険)の支払い状況も審査されます。所得税については、税務署で取得ができる「納税証明書その3」というのが必要になり、もし直近3年間で未納があれば支払いを済ませて、未納がない証明が取れれば大丈夫です。
ただし、社会保険にはついてはかなり厳しく見られます。過去2年分の年金や健康保険の保険料に未納があれば不許可になってしまい、遅延がある場合でも許可は難しくなります。また、社会保険料の未納分を支払ったとしても、審査に引っかかってしまいます。これは、審査官からすると永住ビザ取得のために社会保険料を支払い、永住ビザを取得後はまた滞納するのではないかと判断されるからです。
社会保険の支払いをしていない場合には、今から2年間遅延なく支払いを続けた後に申請する必要があります。
出国日数
日本にいない期間が長い(3か月以上の出国、もしくは1年間のうち120日以上出国しているなど)場合は、永住性に疑問が生じるため不許可になるリスクが高くなります。出国日数についても年々審査が厳しくなってきていますので、仕事の関係で長期出張などがある場合は注意してください。
素行要件
犯罪歴や法律違反の要件で、意外と見落としがちですが軽微な交通違反も対象になってきます。直近5年間の交通違反を見られ、駐車違反、一時不停止、携帯電話の使用など軽微なものであれば数回なら問題はありませんが、免停以上の違反は一定期間、永住申請が難しくなります。自動車の運転をする人は確認しておいた方がいいでしょう。
身元保証人
永住ビザの申請には身元保証人が必要で、通常は日本人配偶者がなります。身元保証人の役割としては①日本に滞在する上での生活費や宿泊費の負担、②帰国時の航空券代の負担、③日本の法律を犯さないようにさせる、ということですが、入管法での身元保証人は原則法的責任はなく、経済的な賠償もありません。