英会話の先生として就労ビザを取得するには
2020年から小学校でも英語教育が義務化され、企業でもTOEICを昇進の条件にするなど、グローバル化が進む中で英語を学ぶ必要性が年々高まってきています。それに伴い外国人が小学校・中学校・高校や語学学校等で働く機会も増えてきているのではないでしょうか。
しかし、語学教師として日本で働くとしても該当する在留資格は複数あります。よくわからないままビザの申請をしてしまうと、違った就労ビザで申請してしまったり、不許可になってしまうケースも想定されます。今回は英会話の先生が日本で働く場合についてお伝えしていきます。
目次
英会話の先生に必要なビザ
「日本人の配偶者」や「永住者」などいわゆる身分系のビザの人であれば、制限がないので就労可能です。しかし、そうでない外国人が日本で「英語」を教えるにはビザが必要ですが、英語を教える場所や機関によって取得するべきビザの種類は変わってきます。例えば、大学で英語を教えるなら「教授」、小学校・中学校・高校の英語教師なら「教育」、そして英会話スクールや語学学校などの先生は「技術・人文知識・国際業務」というビザにそれぞれ該当します。厳密にいえば、英会話の先生は「技術・人文知識・国際業務」のうちの「国際業務」にあたります。
「教授」→大学教授
「教育」→小学校・中学校・高校の英語教師
「技術・人文知識・国際業務」→語学学校等の先生
技術・人文知識・国際業務ビザの要件
外国人が英会話の先生として就労ビザを取得するには「技術・人文知識・国際業務ビザ」が必要で、英会話の先生であればこの就労ビザのうちの「国際業務」にあたります。そして国際業務の仕事を行う上では実務経験または学歴が必要になってきます。
国際業務を行うための要件(どちらか)
①語学教師としての実務経験が3年以上あること
②大学等を卒業してが「学士」以上の称号があること
実務経験の要件
日本で行うのと同じ内容の業務の「実務経験3年以上」が要件になります。この実務経験は日本のものでも海外のものでも大丈夫ですが、アルバイトやパートではなくて正社員や契約社員等のフルタイムで勤務していたことが必要で、元の勤務先から在籍証明書をもらって証明しなければなりません。したがって、元の勤務先が廃業しており、在籍証明書の取得ができない場合は、実務経験の要件を満たしていたとしても入管に証明できず、就労ビザが取得できないことになるので注意が必要です。
学歴の要件
実務経験の要件を満たしていなくとも、大学を卒業しており、学士以上の称号があれば可能です。また、大学は日本でも海外でもよくて、専攻科目は問われません。
その他の要件
その他の要件として「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。」があります。つまり日本人と同額以上の給与を受ける必要があり、雇用者は日本人でないことを理由に給料を下げることはできません。必ず給与額を明記した上で雇用契約書を作成します。
原則として母国語が英語であること
英会話の先生としてレッスンするには、原則として母国語が英語である必要があります。ただし、フィリピン人は母国語が「タガログ語」ですが、英語も第二言語として定着しており、英会話の先生として就労ビザの取得が認められます。
また、母国語が英語でない人でも、教える言語について大学で学んでいたり、その言語ですべての科目を履修していたりして、その言語を教えるだけの能力があると立証できれば取得の可能性もあります
フリーランスで英会話を教える場合
近年では特定の企業に雇用されないフリーランスで働く人も多くなってきていますが、外国人がフリーランスで複数の語学学校等で働くことも認めれられており、この場合の就労ビザも「技術・人文知識・国際業務」が該当します。
ただし、フリーランスで働く場合は通常よりも取得難易度が高くなります。就労ビザ取得のポイント以下のとおりです。
- 固定給はあるか
- 契約期間は短くないか
固定給はあるか
フリーランスで働く場合、通常は業務委託契約を締結し、その中に報酬の項目があると思います。報酬の支払い方法として固定か、1レッスンごと単価が設定されているケースがあると思いますが、就労ビザの審査においては「安定した収入が確保できるか」がポイントになってきます。そのため最低保証の設定は必要で、月額の目安として、地域にもよりますが複数社合計で18万円以上の確保がないと審査で引っかかる可能性があります。
契約期間は短くないか
就労ビザを取得するには仕事の安定性も必要で、契約期間が短くないかも審査されることになります。1年契約であれば問題ないですが、3か月ごとの更新の場合は、契約が更新できないことを考えたら安定性が足りないと判断される可能性があります。契約期間についてはできるだけ長い方が審査には有利になります。