配偶者ビザの人が離婚したら帰国しなければならないのか

外国籍の方が日本人と結婚しても自動的に配偶者ビザを取得できるわけではなく、婚姻の実態を立証したり、安定した収入などの要件を満たす必要があります。

では、もし配偶者ビザを取得後に日本人と離婚もしくは死別した場合はどうなるのでしょうか?配偶者ビザが取り消され、帰国しなければならいのでしょうか?


出入国管理及び難民認定法(入管法)の第22条の4(在留資格の取消し)には以下の記載があります。

「その配偶者の身分を有する者としての活動を継続して六月以上行わないで在留していること(当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除く。)」

出入国管理及び難民認定法 第22条の4第1項第7号

つまり、配偶者ビザの人が日本人と離婚や死別をした後6ヶ月間は猶予があるので、すぐに配偶者ビザが取り消されるわけではありません。ただし、6ヶ月を経過すると取消対象になりますので、引き続き日本で生活するのであれば別の在留資格(ビザ)変更しなければなりません。

配偶者ビザから変更でき得るビザとは?

その人の状況にもよりますが、配偶者ビザの人が日本人と離婚や死別後に変更できる可能性があるのは次の種類のビザが該当します。

  1. 定住者ビザ
  2. 就労ビザ
  3. 留学ビザ

定住者ビザへの変更

まず考えるべきは定住者ビザへの変更です。なぜなら定住者ビザは配偶者ビザと同様に就労制限なく日本で生活することができるからです。ただし、定住者ビザを取得するには「日本人との婚姻期間」や「日本人との実子の有無」がポイントになってきます。

①日本人との婚姻期間

定住ビザを取得するには日本人との「日本での結婚生活が3年以上」が必要です。また、婚姻期間だけでなく安定した収入も必要で、概ね月額18万円以上の収入があることを証明しなければなりません。

②日本人との実子の有無

日本人との間に実子がいる場合も定住ビザに変更することができ、実子を育てるために日本に滞在するという目的であれば、日本人との婚姻期間の条件はなくなります。ただし、「親権があること」は必須で、ある程度の収入も求められます。

就労ビザへの変更

定住者ビザへの変更ができそうにない場合は就労ビザを考えてみましょう。

①技術・人文知識・国際業務ビザ

学歴や実務経験などの要件があり、このビザではオフィスワーク系の業務しかできず、工場のライン作業などの単純労働の仕事はできません。

②特定技能ビザ

特定技能ビザは、2019年4月に新設され、学歴不要で「技能試験」と「日本語能力」があれば現場労働系の仕事が可能になります。

経営管理ビザ

日本で会社を作って(起業して)自らビジネスをするビザです。500万円以上の出資や2人以上の常勤職員などの要件がありますが、実際に会社経営をしなければならず、ビザ目的での取得はできませんので注意が必要です。

留学ビザへの変更

日本語学校や専門学校、大学などに通うことで留学ビザに変更することも可能です。要件としては「入学先の学校が決まっている」ことや「学費を払えるのに十分な資金がある」ことです。

①入学先の学校が決まっていること

入学先の学校が決まっていることが大前提ですが、多くの学校は入学の時期が決まっているので、タイミングによっては変更するのが難しいかもしれません。入学予定の学校に相談する必要があります。

②学費を払えるのに十分な資金がある

当然のことながら学校に通うのであれば学費はかかります。この費用をどのように工面するのかを証明しなければなりません。本人に十分な貯金がなく、母国に住む両親に借りることは問題ありませんが、両親の収入を証明する必要があります。

配偶者ビザを更新する

日本人と離婚や死別後に別の日本人と再婚することで、配偶者ビザを更新することも可能です。別の人との結婚なので申請の中身は変更しますが、ビザの種類は配偶者ビザのままになります。ただし、前婚者との離婚が成立する前に再婚者と交際がスタートしている場合などには、必要書類の「質問書」の交際に至った経緯や離婚原因の説明が重要になります。

また、女性の場合は再婚禁止期間(国によって異なる)があるので、再婚禁止期間中に在留期限が来てしまう方は、他のビザに変更するか一度帰国しなければなりません。もしくは一度短期滞在ビザを取得して、再婚禁止期間が経過した後で結婚の続きを行った上で配偶者ビザの申請をしていくことになります。