【帰化について】永住と違いやメリット・デメリット
永住との違いについて
帰化とは、その国の国籍を有しない者(外国人)からの国籍の取得を希望する旨の意思表示に対して、国家が許可を与えることによって、その国の国籍を与える制度です。日本では、帰化の許可は法務大臣の権限とされています。
帰化と永住の1番の違いは国籍が変わるかどうかです。つまり永住ビザを取得しても国籍は変わりませんが、帰化をすれば日本国籍を取得します。また、日本では国籍法で帰化について記載されており、二重国籍者となることを禁じられているので、帰化によって日本国籍を取得するにはそれまでの国籍を失うことになります。
日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。
国籍法第4条
永住ビザを取得している外国人の方でも在留期間の制限がなくずっと生活することは可能ですが、犯罪などによって永住ビザを取り消され強制送還になる可能性もあります。また、永住ビザの方が日本から1年以上の出国をする場合には、「再入国許可」を受ける必要があり、これを受けずに1年以上日本を離れると永住ビザが喪失してしまいます。帰化した場合、再入国は自由なのでこのような申請をする必要はありません。
帰化のメリット
帰化をして日本国籍を取得するということは「日本人」になるわけですので、「外国人」ではできないことが可能になります。
①戸籍が作れる
帰化すると日本の戸籍が作られ「日本人」となり、申請時に日本の名前を決めることになります。帰化前は「通称名」という形であれば日本名を名乗ることは可能ですが、帰化後は正式に日本人の名前を使用することになります。(カタカナ名も可)
②公務員になれる
自治体によりますが、永住ビザの人は地方公務員であればなることは可能でも国家公務員にはなれません。帰化をすることで警察官や自衛官などの国家公務員試験の受験も可能になります。
③選挙権がある
帰化をした人には選挙権が与えられ、また、被選挙権もあるので立候補も可能になります。
④ローンや借り入れがしやすくなる
住宅を購入する場合はローンを組むのが一般的ですが、帰化をすれば外国人がローンを組むよりも条件が有利になります。
帰化のデメリット
帰化をすることのメリットを説明しましたが、一方で注意することや少し考えておかなければならない点もあります。
①もともとの国籍(自国籍)を喪失する
日本での国籍法では二重国籍を認めていないので、何かの事情によりやっぱり元の国籍に戻したいと思った場合、その国で再度元の国籍に戻す手続きをする必要がありますが、かなり時間や労力が掛かります。帰化した後で元の国籍に戻す可能性がある場合は、帰化でなく永住を選択するなど事前にしっかりと考えておく必要があります。
②審査に時間がかかる
帰化により国籍が変わるので、しっかりと審査する必要があり、結果が出るまで時間はかかってしまいます。国籍や申請場所によって異なりますが、帰化申請の審査は1年ほどかかるケースが多いので、スケジュール調整が重要になってきます。
帰化申請をするには年収、税金や社会保険料の納付状況、日本語能力などの要件を満たす必要があります。その人の状況や置かれている環境によっては永住の方が良いことも考えられます。永住ビザを取得した後で帰化申請することも可能なので、帰化と永住の違いやメリット・デメリットなどを理解した上で計画的に準備していきましょう。