【技術・人文知識・国際業務ビザ】概要と審査ポイント

外国人が日本で働くには、必ず就労可能な在留資格を取得しておく必要があります。一般的に「就労ビザ」と呼ばれており、代表的な在留資格は「技術・人文知識・国際業務」です。
今回は技術・人文知識・国際業務ビザの概要とその審査基準についてお伝えしていきます。

技術・人文知識・国際業務ビザの概要

技術・人文知識・国際業務ビザでは単純労働が認められておらず、基本的にはいわゆるホワイトカラーの業務が該当し、出入国管理及び難民認定法(入管法)では以下のように定義しています。

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動

出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)(抄)別表第一の二

本邦の公私の機関とは

「本邦の公私の機関」には日本の会社、国、地方公共団体、独立行政法人、日本に事務所や事業者等がある外国の法人などです。また、個人でも日本に事務所や事業所等を有する場合も含まれます。

技術に該当する業務

「理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術を要する業務」のことで、主に理系分野を専攻した人が就く業務です。例えば、プログラマー、システムエンジニア、機械工学や建築の技術者などが該当します。

人文知識に該当する業務

「法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する知識を要する業務」のことで、主に文系分野を専攻した人が就く業務です。例えば、マーケティングや広報、会計業務などを行う人が該当します。

国際業務に該当する業務

「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」のことで、外国人ならではの強みや感性を生かした業務です。例えば、語学教師、翻訳通訳者、デザイナーなどが該当します。

審査ポイント【本人の要件】

学歴の要件

技術・人文知識・国際業務ビザの取得には一定の学歴が求められます。

日本の学校外国の学校
大学
大学院
短大
専門学校×

※学士や短期大学士以上の学位が必要で、日本の専門学校については専門士の称号が求められます。

履修内容と業務の関連性

学歴要件を満たしていたとしても、それだけだけでは足りず、従事しようとする業務に関連した科目を専攻していることが必要です。

日本の専門学校を卒業している場合は、「専門学校の履修内容」と「実際に行う業務内容」との関連性を厳しく審査されます。履修科目は「成績証明書」に記載があるので、必ず取得して確認しなければなりません。また、大学を卒業している場合、「履修内容」と「実際に行う業務内容」の関連性は多少緩やかに審査されます。

学歴要件を満たさない場合

学歴の要件を満たさない場合は、一定の実務経験があれば技術・人文知識・国際業務ビザの対象になります。

  • 「技術・人文知識」について10年以上の実務経験(大学,高等専門学校,高等学校,中等教育学校の後期課程又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に関連する科目を専攻した期間を含む。)
  • 「国際業務」については3年以上の実務経験

※実務経験は「在職証明書」で証明していくことになりますが、正社員としての勤務が対象となり、アルバイトやパートで働いていた期間はカウントされません。また、勤務先が倒産してしまっている場合も実務経験として加算できませんので注意が必要です。

審査ポイント【雇用する会社の要件】

日本人と同等以上の給与

外国人が技術・人文知識・国際業務ビザを取得するには、「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」が必要で、雇用する企業に関しても要件があります。これは外国人であることを理由として給与額を下げてはいけないことを意味します。

具体例

  • 日本語ができないので、日本人よりも給与額を低くする。
  • ビザの手続きが大変そうなので、日本人より低い給与で雇う。

会社の経営状況

外国人を雇う場合には、給与の未払いが起きないように、受け入れる会社の審査も行われます。つまり、安定的・継続に外国人材を受け入れる基盤がその会社にあるかどうかを審査されます。

直近の決算書を提出しますが、経営状況によっては事業計画書や理由書の作成が必要になってきます。また、新設会社の場合は、決算書がありませんので事業計画書は必ず添付してください。