住宅宿泊事業法の「住宅」についての疑問点

住宅宿泊事業法における住宅の要件ついては過去の記事(民泊をはじめるには【住宅宿泊事業法の要件について】)で紹介しましたが、「住宅」の定義の確認と少し疑問に感じるところをケースごとに考えていきたいと思います。

民泊新法における「住宅」とは

住宅宿泊事業法における設備要件と居住要件を満たす家屋が、「住宅」に該当します。

 設備要件
「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」があることです。

 居住要件
「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」「入居者の募集が行われている家屋」「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」のうち、いずれかに該当することです。

これらの定義をふまえて以下のケースはどうなるか考えていきましょう。

新築の住宅でも民泊を行うことができるか?

住宅宿泊事業法に基づく民泊は、「人の居住の用に供されている家屋」である必要があるので、居住用ではない「民泊を目的とした民泊専用の物件」はマンションや戸建て、新築かどうかに関わらず、住宅としては認められないのです。
つまり、新築の住宅でも別荘(セカンドハウス)として利用する目的で購入したが、使わない間は民泊として貸し出すという場合は問題ありません。

トレーラーハウスは、住宅宿泊事業法上の住宅に該当するか?

トレーラーハウスは、土地に定着している状態であれば、住宅宿泊事業法第2条第1項の家屋に該当し得ると考えられます。ただし、設備要件や居住要件、消防法や建築基準法、その他さまざまな基準をクリアしないと「建築物」には該当せず、「車両」と判断されてしまいます。実際には届出事項を満たすことができるかどうかについて、自治体の裁量が大きく個別のケースに応じた判断となりそうです。

「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」に該当するには、届出者の住民票上の住所が届出住宅になっていなければならないのか?

住民票の有無だけではなく、その実態に応じて判断されることになります。しかし、短期的ではなくて生活が継続して営まれていることが求められるので、通常はその届出住宅が住民票上の住所になっているケースが該当します。

「入居者の募集が行われてる家屋」として届出をした場合、住宅宿泊事業を行っている間も継続して入居者の募集を行う必要があるか?

届出が完了し、住宅宿泊事業を営んでいる間も「住宅」の定義には該当している必要があるため、継続して入居者の募集を行う必要があります。入居者に不利な条件で募集をしている場合、入居者募集の意図がないということで、「入居者の募集が行われている家屋」には該当しなくなるおそれがあります。

設備要件である「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」のいずれかの設備を複数の届出住宅で重複(共有)して利用することは可能か

ガイドラインには、

”住宅宿泊事業は一の「住宅」について、一の事業者による届出のみ可能であり、重複して届け出ることはできません”

ガイドラインP.11

と記載があります。つまり4つの設備を合わせて1つの「住宅」に該当するので、複数の届出住宅で重複(共有)して利用することはできません。