北九州市で特区民泊の特定認定申請をする時の注意点
福岡県北九州市は国家戦略特区の認定を受けており、北九州市長の特定認定を受ければ特区民泊の事業を行うことができます。窓口となっている保健所に申請をしていきますが、住宅宿泊事業や旅館業とは異なる申請書の記載事項や添付書類があります。今回は、北九州市で特区民泊の特定認定申請をする時に注意する点についてお伝えしていきます。
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申請書について
特定認定申請書の必要な記載事項ですが、施設の基本情報、施設の構造や居室の面積、緊急時の連絡先など住宅宿泊事業や旅館業の申請書と共通する記載事項はあります。ただし、以下のような特区民泊の特定認定申請書にしかない記載事項があります。
用途地域
北九州市内で特区民泊を実施できる地域は「第一種低層住居専用地域」、「第二種低層住居専用地域」、「市街化調整区域」でのみ実施可能なので、該当の用途地域を記載します。
施設のホームページ
施設の周知のため掲載するホームページのアドレスを記載させる必要があります。特区民泊は外国人滞在施設という目的の制度なので、外国語での案内も行い、滞在者が理解しやすいようにすることが必要です。
※日本人が滞在できないわけではありません。
事業内容
事業の内容として以下の事項について、記載が必要です。
・ 「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」である旨
・ 滞在者に施設を使用させる期間 (条例で定めた 3 日以上)
・ 「北九州市の豊かな自然との触れ合い又は市民と交流する機会」を滞在者に提供するための取り組みに関する内容 等
提供する外国人旅客の滞在に必要なの内容及び当該役務を提供するための体制
以下の事項について、記載が必要です。
対応できる外国語の種類 | 最低でも1つの外国語 |
施設利用の際の注意事項を外国語を用いて説明するための措置及び体制 | 滞在者に対し、施設内に備えられた設備の使用方法、ゴミ捨てのルールを守り、大きな物音をたてないこと等の施設利用上のマナーについての説明 |
災害、急病、事故等の緊急時の措置及び体制 | 災害、急病、事故等の緊急時に、外国語による「避難や救急医療等に関する情報」を迅速に提供するための措置及び体制が整えられ、滞在者に火災等の緊急事態が発生した場合の通報先(警察、消防、事業者等)及び初期対応の方法(防火、防災設備の使用方法等) |
滞在者の本人確認を行うための方法 | 施設の使用開始時、使用終了時の確認方法(対面、テレビ電話など) |
滞 在 者 の 施 設 使 用 に関する状況の確認方法 | 一定の滞在期間以上の場合(7日以上など)、中間時点で少なくとも 1 回は滞在者本人が適切に施設を使用しているかどうかについて状況の確認を行う |
廃 棄 物 の 処 理 方 法 | 廃棄物(事業系一般廃棄物又は産業廃棄物)の処理方法を賃貸借契約書、施設の利用説明等に明記する等し、あらかじめ説明する |
滞 在 者 が 日 本 国 内に 住 所 を有 し な い外 国 人 で あ る こ と を確 認 す る 方 法 | 滞在者名簿にその国籍及び旅券番号を記載する |
添付書類について
特定認定申請書の必要な添付書類ですが、基本的には住民票や図面など住宅宿泊事業や旅館業の申請時に必要なものと大きく変わりませんが、特区民泊の申請にはおいては「賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款」が必要になってきます。
特区民泊では、滞在者は施設と宿泊契約ではなくて短期の「賃貸借契約」を結んだ上で宿泊するという形式をとっており、「賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款」には以下の条項が含まれていなければなりません。(外国語での表記とその日本語訳も必要)
・ 各施設で提供する役務
・ 対応できる外国語の種類
・ 滞在者が施設を使用する際の注意事項及びその遵守
・ 3日以内の解約はできない旨
・ 滞在者は、日本語又は施設が対応可能な外国語に対応できる者である旨
・ 日本に住所を有しない外国人は旅券、日本人及び日本に住所を有する外国人の場合は、旅券又は運転免許証等の身分証明書の呈示を義務付ける条項
また、施設内の他滞在者間及び一般居住者の滞在・生活環境の保全のために、必要に応じて以下の行為は禁止行為とし、履行したときは解除できる旨を契約書に明記することでトラブル防止が図れます。
・鉄砲、刀剣類又は揮発性を有する危険な物品等を製造又は保管すること ・大型の金庫その他の重量の大きな物品を購入し、又は備え付けること ・排水管を腐食させる恐れのある液体を流すこと ・大音量でテレビ、ステレオ等を鳴らす操作、ピアノ等を演奏すること | 相当の期間を定めて催告するも義務履行が無い場合、解除できる |
・猛獣、毒蛇等の明らかに近隣に迷惑をかける動物を飼育すること ・本物件を反社会的勢力の事務所その他活動の拠点に供すること ・本物件又は本物件の周辺において、著しく粗野もしくは乱暴な言動を行い、又は威勢を示すことにより府民の住民または通行人に不安を覚えさせること ・本物件に反社会的勢力を居住させ、又は反復継続して反社会的勢力を出入りさせること。 | 何らの催告も要せず解除できる |
※特区民泊の事業には宅建業法は適用されず、滞在者への重要事項説明が不要です。
補足
特区民泊は外国語での案内表示や賃貸契約書の作成など少し面倒なことや滞在日数が3日以上の制限があります。しかし、住宅宿泊事業での年間180日までという日数制限や実績報告、管理業者への委託義務などはなく、旅館業では営業許可取得できない低層住居専用地域での事業が可能などメリットも多くあるのでぜひ活用してみてはいかがでしょうか。