北九州市における特区民泊の取り組み
北九州市は「都市と田舎が共存するまち」という特長を活かして、観光客に本市ならではの魅力を堪能してもらうとともに、観光・地域振興が図れるよう「自然体験」と「地域住民との交流」をテーマとした民泊を郊外で実施し、賑わいのあるまちづくりを推進する目的で特区民泊に取り組んでいます。
北九州市の特区民泊について
最低滞在日数 | 3日(2泊3日以上) |
実施可能な地域 | 「第一種低層住居専用地域」 「第二種低層住居専用地域」 「市街化調整区域」 |
手数料 | 認定の申請1件につき 21,200円 変更の認定の申請1件につき 10,500円 (注)現地調査を行う必要がない場合 1件につき 2,500円 |
認定事業者の責務 | 認定事業者の責務として、本市の区域計画策定の趣旨を踏まえ、 本市の豊かな自然と触れ合い又は市民と交流する機会を積極的に設けるよう努めることを規定 |
滞在日数
施設の利用期間の下限は3日となっており、最低でも2泊3日以上の滞在が宿泊条件となっています。ただし、営業日数に関しては住宅宿泊事業法の年間180日までのような制約はなく、旅館業法と同様に365日フルで稼働できます。
実施可能な地域
特区民泊を実施できる地域は、事業実施区域とした「第一種低層住居専用地域」、「第二種低層住居専用地域」、「市街化調整区域」となっています。
※市街化調整区域では、都市計画法の規制により「民泊」ができない場合があります。(都市計画法第34条に適合する必要がある)
手数料
北九州市の場合、認定の申請手数料は1件につき21,200円となっています。
※変更認定申請の「現地調査を行う必要がない場合」について
保健所は、変更の内容を踏まえて施設を現地で調査し、申請の内容と合致していることを確認する必要がありますが、以下のような変更については現地調査を省略できます。
①居室の数を減少させるもの
②施設の構造、面積、設備及び器具の変更を伴わないもの
認定事業者の責務
「本市の豊かな自然と触れ合い又は市民と交流する機会」を滞在者に提供するための取り組みに関する事業内容が求められます。例えば、豊かな自然の中でのトレッキングや農業体験等のイベント案内・開催、お祭をはじめとした地域行事への参加などです。
必要な要件
特区民泊を行おうとする事業が国家戦略特別区域法施行令第13条で定める要件に該当している場合、市長の認定を受けることができ、事業を開始できます。以下は主な要件です。
施設の構造設備等
施設の各居室は、次のいずれにも該当するものである必要があります。
- 1居室の床面積が25㎡以上であること
- 出入口と窓は、鍵をかけることができるものであること
- 出入口と窓を除き、居室と他の居室、廊下等との境は、壁造りであること
- 適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房及び冷房の設備があること
- 台所、浴室、便所及び洗面設備があること
- 寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理のために必要な器具又は設備及び清掃のために必要な器具があること
外国人旅客の滞在への対応
施設の利用方法や緊急時における対応方法などに対して、外国語での案内が備え付けてある必要があります。
- 対応できる外国語の種類を滞在者に案内すること
- 施設利用の際の注意事項について外国語の案内を備え、滞在者に説明すること
(施設内の設備の使用方法、ゴミ捨てのルール、騒音等の周辺住民への配慮事項など) - 災害・急病・事故等の緊急時に、外国語による避難や救急医療等に関する情報を迅速に提供でいる体制を整えていること
滞在者の管理
宿泊施設という事業形態の事情により、テロ対策や感染症対策、違法行為の防止などの観点から適切な滞在者の管理が必要です。
- チェックイン時やチェックアウト時に滞在者名簿に記載されている人と実際の滞在者が同一であるかを対面もしくはテレビ電話等で確認できること
- 滞在者名簿には滞在者の氏名・住所・職業を、日本に住んでない外国人の滞在者は国籍と旅券番号を記載すること
(日本に住んでいない外国人の滞在者は、パスポートのコピーを滞在者名簿と一緒に保管すれば、氏名・国籍・旅券番号の記載は不要) - 滞在者名簿は作成の日から3年間保存し、施設又は事業者の事務所等に設置すること
近隣住民とのトラブル防止の措置
近隣住民の不安を除去し、トラブルを防止する観点から、当該施設が特区民泊の用に供されるものであることについて、適切な説明が行われていることが必要です。
- 特定認定を受けようとする者の氏名(法人の場合は、その名称と代表者名)
- 施設の名称と所在地
- 事業内容
- 苦情及び問合せ窓口の連絡先
- 廃棄物の処理方法
- 火災等の緊急事態が生じた場合の対応方法
説明の対象
①施設と同じ建物内に居住する人
②施設を構成する建築物の敷地に隣接する土地に存する建築物(外壁間の水平距離が20メートルを超えるものを除く。)に居住する人
③施設を構成する建築物の敷地が道路、公園その他の空地(以下「道路等」という。)に接する場合にあっては、当該敷地と道路等の境界線からの水平距離が10メートルの範囲内の土地に存する建築物(外壁間の水平距離が20メートルを超えるものを除く。)に居住する人
苦情・問合せへの対応
地域住民からの苦情及び問合せについて、適切かつ迅速に処理が行われること、その体制が整備されていることが必要です。
その他の満たすべき要件や、クリアすべき消防法・建築基準法・都市計画法などの関係法令、認定申請に必要な書類の収集など、保健所への事前相談から特定認定を受けるまで多くの手続きがあります。また、保健所や消防署、市役所等の関係機関にも問い合わせたり足を運ぶ必要もあるので、事前に制度の概要や要件についてはしっかりと理解しておくことが大事です。